あるぞしゅぷらーはつぁらとぅすとら

シャドバとか、ラノベとか、ノベルゲーとか

今年読んで人に勧めたくなったラノベ5選 ver.2019

 

今年購入して「いやあ、これは面白いなあ」ってなったラノベを紹介していくだけの記事です。(あくまで私が今年購入したってだけで今年発売されたってわけではないです、念のため)

 

ラノベクラスタならだいたい知ってる作品ばかりなのでそういう人には「そんな当たり前に面白い作品挙げられても……」って言われそう。

 

ターゲットにしてるのはそこそこラノベ読んでるけど、次買うラノベにちょっと困ってるって人たち。良ければこの中から買ってってください。

 

 

七つの魔剣が支配する

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このラノ2019文庫本部門1位
戦記ラノベの傑作、天鏡のアルデラミンの作者の新作。電撃文庫


一言で表すなら「ライトノベルハリーポッター


言わずと知れた魔法ファンタジーの世界的名作ハリーポッターだが、日本のライトノベルではこの系統の作品はほとんど存在しない。それはなぜか。


めちゃくちゃ頭が良くないと書けないから


ハリーポッターの凄い点は魔法学という架空の学問をさも実在するかのように体系立てて描いている点にある。
いわゆる火、水、風、土のような「魔法ファンタジーの共通ベース」に頼らず、「変身術」「魔法薬学」「魔法生物飼育学」のような通常の学園魔法ファンタジーではスルーされがちな学問を体系化して描いている。
これは既存の魔法ファンタジーのベースに乗っかるだけでは無理で、作者の脳内でかなり深くまで設定を構築しないと不可能な芸当である。

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ななつまも同様だが、この作品独自の学問として「魔法剣」という授業がある。
ななつまでは魔法使いは杖と剣を装備しているのだが、魔法剣はその両方を複合的に用いる戦闘技術を教える学問である。
剣と魔法の両方を戦闘に使う、なんでアイデアは使い古されたものだがこの作品は「なぜわざわざ両方使うのか」ということまで丁寧に描いている。


(話の本筋には関わらないが少しネタバレを挟みます)

 

 


昔の魔法使いは杖のみを装備していた。なぜならば魔法のみ使えば普通人(魔法を使えない者、ハリポタでいうマグル)など相手にならない、と考えられていたからである。
しかし大暦1132年に大魔導士が普通人に斬り殺された事件が発生した。しかも不意打ちではなく真っ向からの決闘の結果、である。
なぜか。
一節呪文の詠唱よりも達人の斬撃の方が速いから。
この事件を境に魔法と剣術の複合技術が磨かれ、のちに「魔法剣」というひとつの学問に繋がっていく。

 

 


(ネタバレここまで。相当意訳してます)


学園ファンタジーは数多くあれど、「なぜその学問が存在しているのか」についてここまで深く考察してある作品はそう多くない。
通常のファンタジー小説が平面であるなら、ハリポタやななつまのように歴史にまで考察を入れている作品は立体的であると言えるだろう。立体的である以上話に奥行きが生まれる、が同時に知識量、思考力が桁違いに求められる。


だからこそそう簡単に手を出せる分野じゃなかったし、その分野に手を出して人気作まで持ち上げた宇野朴人の力量が恐ろしい。


既巻4巻だが2巻までは最近始まったBookwalkerのラノベ読み放題サービスで読めるので一読いただきたい。1巻序盤が少し退屈かもしれないがすぐに世界観の深みに引き込まれるので投げ出さないように。

 

 


Unnamed Memory

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このラノ2019単行本部門1位。電撃の新文芸。
評価方法についていろいろ言われる「このライトノベルがすごい」だがなんだかんだでトップ10の作品は面白さを信用できると再度納得した。


相当オリジナリティがあるせいで紹介するのに適した言葉が思いつかないが、強いてジャンル分けするなら、海外ファンタジー小説や童話に近い。
小説家になろう発だというのは読み終わっても気づかなかった。


あらすじとしては


子供を作れない呪いをかけられた王子・オスカーが世界に5人いる強大な魔女の1人、ティナーシャに解呪を頼みにいく。なんやかんやあって1年間同行し、その間に解呪を成し遂げるという契約を結んだ2人だったが城内での暮らしは安寧とは程遠く…


といった感じで小さなエピソードがいくつか連なって大きな物語が動いていく、といった物語。


ティナーシャが可愛い。
ティナーシャは魔女としての恐ろしい側面、オスカーの守護者としての落ち着いた側面、ひとりの少女としての可愛らしい側面という3つの顔を持つが、それがコロコロと変わる様がとても魅力的。
通常時は敬語口調で話してるけれど、オスカーの無茶振りが飛んでくるとタメ口になっちゃうところが可愛い(可愛い)


オスカーがカッコいい。魔法を無効化する王剣アカーシアとティナーシャからかけられた物理・魔法をほぼ防ぐ守護結界を持ちながら、さらに王国一の剣士という設定だけ聞けばなろうあるあるのチート主人公だが、作中での描き方ではそういう嫌味な感じが全くなく、精悍さが目立つ(本気の魔女には勝てないだろうと言われてるのがその嫌味のなさを演出してる)
なによりもティナーシャへの好意の向け方がとてもストレートで見ていて気持ちがいい。イケメン。


まだ1巻しか読んでいないため、風呂敷を広げてる段階だが、その中で少しずつオスカーとティナーシャの距離が縮まっているところは読んでいてワクワクする。2巻以降では物語自体の「承」や「転」がやってくるだろうし、楽しみである。


既巻は3巻でまもなく4巻が発売されるそう。単行本のため1冊の値段が少々高めだが読む方は間違いなくある。

 


プロペラオペラ

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とある飛空士シリーズの作者による艦隊系戦争もの(ただし艦隊は空を飛ぶ)。ガガガ文庫
軍事・資源的に劣っている日之雄と世界最強の大国ガメリア合衆国とかいうどこかで聞いたような二国間における軍事・経済・政治等々が複合的に絡み合った戦記作品でそういう系統が好きな人にはお勧め


主人公のクロトが自信満々のナルシスト寄りなのが鼻につくかもしれないが、口だけではなく能力がある上での自認の強さ。かといって何でもかんでもできるというわけでもなく、乗組員に肉体の弱さや声の小ささをからかわれた後はすぐに自主訓練を積んで欠点を埋めようとする努力家の一面も併せ持つ。
ヒロインのイザヤは皇族の直系で、傍系のクロトとは親戚筋にあたる。幼少期にクロトから心ない告白を受けたせいでクロトに対し疑心暗鬼になっているが、それはそれとして彼女自身クロトには一定の好意を抱いている。

 


カイルというガメリア最大の投資家がラスボス。
クロトのガメリア在住時に投資の世界に誘い込み、クロトの能力を用いて大儲けをした末に裏切った悪質さ。そしてイザヤを自分のものにするためだけに戦争を起こすほどの我欲と権力と金を有した悪辣さを有した純粋悪。
犬村小六の敵キャラは外道が多いがここまで同情の余地がないのは珍しい。それがゆえに未来の展開にワクワクしてくる。


既巻1巻なのでいまなら買い得!


とりあえず特設サイトへGo!

 

プロペラオペラ 特設サイト::小学館::ガガガ文庫


ヒロインの顔がいい

 

魔女の旅々

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魔女版キノの旅、だけどちょっと違う。
灰の魔女イレイナがいろんな国へ旅する物語。キノの旅と違うのはイレイナの方がキノよりも人間味があるところだろうか。

 

物をなくせば慌てるし、好ましい人物がいれば手助けするし、気に入らない人間がいればお灸を据える。でも別に勧善懲悪と言うわけじゃなくて、身にならない仕事を引き受けたりはしない。


そんな人間らしいイレイナのあれこれは見ていて楽しいし、可愛らしい。
まあでもなんだかんだ言って1話完結でオチがつくような作風はキノの旅と同じなのでキノの旅好きな好きなはず。

単行本なので少々お高い。気になる方は特設サイトで試し読みできるので是非。

GA文庫|「魔女の旅々」特設ページ

 

 

吸血鬼に天国はない

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話せない奴隷と勝たない賭博師の出会いから別れを描いた「賭博師は祈らない」の作者の第二作。電撃文庫

 

「賭博師は祈らない」がデビュー作としては異次元の完成度を誇っていたため、期待していたがその期待を良い意味で裏切られた。
「賭博師を祈らない」を読んでた人ほど強い衝撃を受けると思う(続編とかそういうわけではない)


「賭博師は祈らない」はBookwalkerにてキャンペーン中のKADOKAWA書籍読み放題サービスで全巻読めます!1月末まで無料サービス中なので是非(当ブログはKADOKAWAから報酬を一切受け取っていないことを明記しておきます)


あまり語るとネタバレになるので最小限にするが、ざっくりとあらすじをまとめると、
大戦と禁酒法によりギャングの力が増した街で、車一台で運び屋をこなすシーモアはある日ひとりの少女ルーミーを運ぶ仕事を請け負った。
謎の車に追われながらも無事ルーミーを送り届けたが、その直後に届け先は爆発。ルーミーもマフィアから頭に銃弾を受け、即死したかに見えた。
パニックになるシーモアだったがしばらくするとルーミーは起き上がり、こう言った。


「私は、吸血鬼ですから」


人の血を吸い、太陽や銀、流水に弱い、そんな空想上の生物だと彼女は言う。シーモアは動揺しながらも行き場のないルーミーを自分の家に匿うことに。
しばらく生活していくうちに2人の距離も少しずつ縮まっていくが……シーモアは気づく。


ルーミーは、何かを隠している。


その秘密が明らかになった時、2人の関係性は、大きく、大きく変わることになる。

 


1巻を読んでいて、シーモアの行動にもルーミーの行動にも明らかに合理性が欠けている、と感じ、同時にだからこそこの小説には他の作品にはない魅力があると感じた。
自分では絶対取らない言動、思いつきすらしない行動、理解できない思考、その「非合理性」がこの物語から伝わる「情緒」や「驚き」といった魅力につながっていると思う。

2巻も発売されたばかりなので是非

 

 

まとめ

少し前は粗製濫造が目立ってたように思えるライトノベル業界だが、最近は質を重視した作品作りに移行しているように思う。

ここ数年は特にそういう作品が多く、このライトノベルがすごい!のランキングにもそれが如実に現れている。

 

具体的には2012〜13のSAO2連覇、14〜16の俺ガイル3連覇、17〜18のりゅうおうのおしごと2連覇に対して、19錆喰いビスコ、20ななつまと新作が目立つようになったことやトップ10の過半数が未アニメ化作品になっているところが挙げられる。

 

あと一番大きいのはタイトルやあらすじ、表紙や帯のような手にとってもらうための努力がかなり感じられるようになった。

ちょっと前は面白い作品もつまらない作品も全部が全部「よくあるタイトル」だったから面白い作品を探すのにも一苦労だった(騎士とか魔法とか竜とか異世界とかチートとか入れとけば読むと思ったら大間違いじゃ)

 

最近は「この雰囲気面白そうだな」と思って手に取った作品はだいたいちゃんと面白いので、書店に行ってビビッと来た本は迷わず手に取って欲しい(好みに合うかどうかまでは保証しませんが)

 

 

今年中か1月中に別口でもう5冊くらい紹介する記事出すと思うので良ければそっちも見てってください。